と金の活動について
2023.01.25
幼少期、海や山河に身を置いたときに得た感動や、その裏で感じた自分の無力さ。
遊び疲れた逢魔が刻に、深く変化していく森の奥の奥の色。凝視することを拒みたくなるような海の闇。
そんなこの世の裏側を垣間見るような得体のしれない力に、子供心は不思議と魅かれたものでした。
何故かというと、それは単純な恐怖ではなく、畏敬の念に近い感覚だったからです。
それらは大人になり、自然に身を置くことの少なくなった現在でも姿形を変えて私の心には存在します。
どうにもならない理不尽な悪意。目を背けることのできない、または目を背けることしかできない賊心、組織を政治利用する不毛な野心や愚行。
民草目線で見ると、人々に気配を消し忍び寄る罪過。国民すべてを欺く巨悪などもその類では無いしょうか。
それらの言葉にし難く、声にすることを憚られる何かを、過去の芸術家たちは視聴覚に訴える形として表現してきました。
その象徴として、画家は妖怪や幻獣、霊獣や都市伝説などを生み出し、滞留した世の中を風刺し、時に笑い飛ばすことにより、人々が日々抱える様々な衝動を上手に消化する役目を果たしてきたのです。
私も芸術家である以上、先人達からそのバトンを受け継ぎ、時にはシリアスに、時にはユーモアを交えながら、画室から世間と対話していければと思っています。