と金堂

子夜


動物たちは同じ地球に住みながらも、
人間とは生息する世界が微妙にずれている。

そのずれが悪戯に矯正されたとき、
野生の存在は脅威となり、
時に不幸な出会いを生む。

そのため動物の中には、
狸、狐、猫、犬、猿、獺など、
存在が擬人化され、
妖怪に分類されることもしばしばあるのだが、

それは人間らしい、なんともおこがましい考えだ。

彼らからすれば、
こちら人間こそが妖怪のたぐいなのではないか。

地球上の生命すべてが、
それぞれ主人公の物語を生きているのだから、
それを破壊していく我々こそが、
質の悪い、邪悪で愚かな生き物である。

天網恢恢疎にして漏らさず

そのすべてを見透かすような眼差しで、
彼らはじっとこちらを見ている。

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